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まあの『パパ』という人が、まあは欲しいとも言わないのに
電気オルガンを買って、「習いに行きなさい」と言った。
まあは、オルガンよりもピアノが好きだったけど
『ママ』という人に連れられて、遠いところまで習いに行った。
『せんせい』はにこりとも笑わない人で
まあに『いろおんぷのおてほん』を一度書き
五線の上に○をいっぱいならべて「これに色をぬりなさい」
そう言ったきり、見向きもせずに
もう一人の子供に同じ部屋で付きっ切りでピアノをひかせてた。
最初は「ちゅーりっぷ」の楽譜だった。
オルガンはひかせてもらえなかった。
次の時、またまあは一生懸命に色を塗った。
せんせいは一瞥しただけで、何も言わずにその上に
べったりと大きなXを書いた。
小節ごとに、いくつもいくつも・・・最後までXを書いた。
まあは悲しくて、でもどこがまちがっていたのかを見た。
最初の1つの位置を見間違えて。
そこから全部がひとつずつずれていた。
まあは、赤の次は黄色、その次は緑、オレンジ、水色、青、紫
お手本の並びどおりに、そう覚えていただけなのに。
そして、それは「まちがい」ではなかったのに。
それはハ調なら「ちょうちょう」の楽譜になるはずだった・らしい。
それっきり、まあは二度とおけいこに行かなかった。
それっきり、まあの頭へおたまじゃくしは意味を持って並ばなくなった。
まあは小学校へ入った。
1学期の成績表に「礼儀正しく、おとなしくまじめで勉強もできます。
でも、性格が暗いです。もう少し明るくなりましょう。」と書かれていた。
ある日、先生がまあのママに嬉しそうに言ったのをまあは見た。
「まあちゃんは手を使わずに計算ができるんですよ。
みんなは懸命に両手を指折り数えているのに。」
違う。ほんとは・・・
まあも指を使ってた。こっそりと、両手を机の中に隠して。
おうちでまあが宿題をしていた時に手を使っているのを見て
とても悪いことをしたかのようにママに叱られたからだ。
先生に褒められてママは嬉しそうだった。
まあは、ここは自分の居場所じゃないと思った。
ある日、まあは紙の着せ替え人形で遊んでた。
ばあが「まあが勉強しないとばあがママに叱られる」といつも言うから
もう少し遊んだら片付けるつもりだった。
ばあは怒ってまあの人形を引きちぎり、風呂場の焚口で全部燃した。
それから、まあは勉強をする振りをして、いつも植物図鑑を眺めてた。
まあに話しかけてくれる大好きな友達の名前を覚えたくて
まあは一生懸命に花の名前を覚えた。
まあの家の周りには春には黄色のラッパスイセンがたくさん咲いた。
けれどまあの『弟』が『入院』するたびに
みんな刈られて『お見舞い』に持って行かれてしまった。
まあの学校は村中を見下ろせる山の上に建っていた。
古い屋根の上に、村の方へ向かって何か長いものが突き出ていた。
まあは、それを使って先生がまあの考えている事を
すべて集めて読み取っているのだと思った。
まあに花たちの声が聴こえるように
先生にもまあの心の声が聴こえるのだと思い込んで
気づかれぬようにといつも『いい子』にしていた。
いい子にしていたら、ママとパパという人たちは機嫌がよかった。
ある日、まあはばあに訊いたという。
「まあのほんとのママって、ほんとはばあなの?」と。
まあはそれを覚えていない。
きっとまあにとって都合の悪い答えを聞いたからだろう。
まあはお風呂も、寝るのも、いつも一人だった。
サンタさんという知らない人が、眠っている間に置いてった
真っ赤なクマのぬいぐるみだけが、寒い夜も雷の夜もまあのそばにいた。
ある日、まあはかぼちゃを拾った。
どこでだったか、おぼえていない。
まあはかぼちゃと友達になって、家へ連れて帰った。
見つかったら叱られると思って
まあはかぼちゃを鶏小屋の裏へこっそりと置いた。
毎日まあはかぼちゃに会いに行き・・・
ある日、かぼちゃが突然いなくなっていた。
まあが急いでママに訊くと「腐ってたから畑の隅へ捨てた」という。
慌てて畑へ行って見た。
かぼちゃは裏半分が黄色く腐ってカビが生えて割れていた。
まあは悲しかった。
二度と会えない友達を思って泣きたかったけど我慢した。
まあは、いつもは『パパとママと弟の家』にいて
夜ご飯を『弟』たちと食べた後で『送って』もらって
ばあの家へ『帰って』いた。
だから、毎晩月と星を見ていた。
まあにはまだ、月も星も、ちゃんとわかっていない時で。
それでもかぐやひめが月へ帰ったのなら
どこかにまだ『まあの場所』があるのだと思った。
それから、まあはいくつかの星と友達になった。
ある日、アメリカのアポロロケットが月へ行った時に
近所のおじさんが望遠鏡を持ってきて見せてくれた。
月の表面は穴ぼこだらけで、ウサギもかぐやひめもいなかった。
けれど、まあが頼んで見せてもらったまあの『友達』は
1つには『輪っか』が付いていた。
もう1つは『赤い赤い・戦いの神の星』で
もう1つは大きな目玉を付けて4つの月を従えた『ジュピター』で。
まあはそれからもっともっといっぱい星を見て
ある日、白鳥座のくちばしにきれいな星を見つけた。
あとで、それは『アルビレオ』という双子の青と黄色の星だと知った。
そして、空の星たちが、みんなとてもとても遠くにいて
今見えているのに、本体は死んでしまってて
もう存在しないかもしれないのもいる、ということも知った。
まあは弟は嫌いじゃなかった。
弟は弱くていつもまあについていたから、まあは弟をいつも守ってた。
でもママから「お姉ちゃんだから」と言われるのは嫌だった。
ある日、まあが宿題をしていたら弟が邪魔に来た。
あまりしつこく無茶を言うので、まあは手を振って弟を押しのけた。
まあが握っていた鉛筆の先が弟の足を傷つけ、ママは激怒した。
まあは、行き場がなかった。
いつも、どこかへ行きたかった。
毎晩同じ夢を見た。
暗い、真っ暗などこかに、まあはいつもいた。
誰もいない、何も見えない、でも同じ場所だとわかる。
そして目が覚めたらいつも、心臓が苦しいくらいにドキドキしていた。
夢は怖くないのに。なにも怖いものはいなかったのに。
まあは、甘え方を知らない。
甘えたら叱られたから。
まあは、いつもいい子だった。
そうすれば、まわりがみんな機嫌がよかったから。
まあには、みんなの思念が、
特にマイナスの感情が読み取れたから。
いっそ、はっきりとした言葉で聴こえたならよかったのに。
そうすればへんに期待して、近づいて
また傷つけられることもなかったのに。
そして、そんな自分を、まあは大嫌いだと思った。
大きくなっていくにつれて、勉強するにつれて
まあは自分が変なやつだとわかってきた。
5年生になって初めて、漫画の本を買ってもらった。
読む本のジャンルにSFが入った。
「空想の物語の中」には、まあのような仲間が大勢いた。
中学に入って、まあは「カンのいいやつ」と言われた。
高校へ入って、まあは1年間一緒にすごした女子全員から裏切られた。
まあはもう、寂しくはなかった。
自分が変なやつだとわかったから。
高校3年になって、まあはいい子をやめた。
パパやママの意見を無視して 好きな教科ばかり取った。
パパやママが望んだ大学への道は絶たれた。
まあは自分を解放した。でも、はめを外すことは無かった。
『友達』をなくしたくなかったから。花たちはいつもそばにいた。
話は戻って・・・
春が過ぎて・・・ある日まあは畑のすみでたくさんの双葉を見つけた。
それは、あのかぼちゃの落とした種から出てきた、新しい芽だった。
まあを泣かせていなくなったかぼちゃは
たくさんの甘い実を実らせて帰ってきた。
おかえり。大好きな私の友達。。。
自分でも忘れてたことを、どんどん思い出して。
書いておけ、って声がするから。
これできっとマイナスの気は抜けて行っただろうな。。。
でも、こんな変なやつだよ?
『思念』を感じることができるっていうのは
『気』が読めるっていうのは、こういうことだよ。
それでも 感じられるようになりたい?
こんな変なやつでも、HARUはいい?

【2007/04/24 02:59】 つぶやき |
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